大橋美加の”シネマフル・デイズ⑬『逢びき』

1945年 イギリス映画 デイヴィッド・リーン監督『逢びき』(Brief Encounter) 「君は遠くに行っていたね」(”You've been a long way”)というひとこと。 一緒に暮らしていても、心が離れた夫婦の台詞だろうか。 白い煙を上げて駅に入ってくる汽車。手狭な駅のカフェでの偶然の出逢い。 何不自由ない主婦と、家庭を持つ医師との出逢い。 メロドラマやラヴ・ストーリーが嫌いなのに、 なぜ本作に向き合ったのだろう・・・ 言葉の洪水。ヒロインの心情が、夫への手紙形式で全編を埋め尽くしてゆく。 ヒロインを演じたセリア・ジョンソン、 相手役のトレヴァー・ハワードともに、舞台出身の役者。 絵に描いたような美男美女ではない。 子どもたちにも恵まれ、不仲なわけではない夫婦。 心の隙間に入り込んだ”逢びき”の結末は如何に。 いいじゃない、これくらい、後ろめたくていいじゃない。 そうじゃないなら、逢びきする価値はない。 原作・脚本を手がけたノエル・カワードは、 俳優・作家・演出家・作詞作曲家・映画監督の名をもつ才人。 彼の歌曲”I'll See You Again”を キング・レコード時代に録音したことがあることを想い出した。 暫く歌っていないが、ライヴ活動が再開したら、また歌ってみよう。

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