『孤島の王』

大橋美加のシネマフル・デイズNo.244『孤島の王』

2010年 ノルウェー・フランス・スウェーデン・ポーランド合作映画

マリウス・ホルスト監督

(Kongen av Bastøy )


門盲の少年が紡ぐ、傷を負った鯨の物語。

その口から出た言葉を文字にする、もうひとりの少年。

言葉は絆となる。


光の射さない、冷たい色、寒い色に支配されている島。

舞台は1915年、ノルウェーのオスロ南方にある孤島バストイ島の

少年矯正施設に、二人の少年が送り込まれるところから、映画は始まる。

細身で色白のイーヴァル、もう一人はガッチリとした体格に不敵な面構えのエーリングである。

既にこの二人を同等に”少年”と括って然るべきかと疑問の湧く滑り出し。

もう少しで卒院である優等生オーラヴと、視線を交わすエーリング。


院の日常は感情表現を排して淡々と描かれるが、ふと顔を見るとあどけない子もいる。

収容されているのは11歳から18歳。

それぞれに闇を抱えてはいるが、此処は刑務所ではない。

規則を守っていれば、やがては卒院できるのだ。

獣の魂を宿した眼光を放つエーリングの出現により、突き動かされてゆく少年たち・・・

当初は反発しながらも、次第に心を通わせてゆくエーリングとオーラヴ。

事実を下敷きにしたストーリーに、歯止めは掛けられない。

院長には国際的に活躍するスウェーデン出身のステラン・スカルスガルドが扮し、

大柄な体躯で威圧感を発散させるが、少し役不足にも見受けられる。


海原をのたうちまわる鯨のイメージが頭から離れない。

この景観、このクライマックス、この悔恨を、見届けて欲しい!

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